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「失礼します」
キラキラの笑顔を振りまいて、柳井くんが入室する。
「そこに座ってくれ」
社長が真顔で言った。
「はい、ありがとうございます」
柳井くんがゆっくりと、黒の革張りの椅子に腰掛ける。
「蓮見社長直々に、お呼びいただける日がくるなんて光栄です」
「そうか。お世辞をすらすら言うのが本当に上手いな」
「お世辞じゃありません。僕は蓮見社長にずっと前から憧れていて、だから今もNEサーチに残っているんですよ」
柳井くんの台詞に、鼻で笑う。
「はぁ、そうか。じゃあ単刀直入に言う。求人広告会社、TR社社長の井川隆之介を知ってるか？」
「はい。業界人ならば知っている人も多いのではないでしょうか」
「そうじゃねーだろ。オトモダチだろ？」
はっ、と掠れた声で笑い、蔑んだ表情で柳井くんに視線を注いだ。
「NE通販の顧客情報及びNEマップのユーザー情報を、井川の会社に流したのがお前なのは分かっている。井川は顧客情報を売って金も得ていた。今日、逮捕されるだろう」
「･･･そうなんですね。だけどそれに僕は関係してません。証拠でもあるんですか？」
「今日押収される井川やTR社のパソコンを警察が調べればすぐに炙り出される」
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