最後の難関

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スタッドレスタイヤを履いた車が、まだ雪の残った山道を走っている。 運転しながら社長がぽつりと呟いた。 「俺は何故だか、極端に人に嫌われることが多い気がする。柳井だってそうだろう。絡みもほぼなかった奴に犯罪まで犯されて。自分に何か欠陥があるような気がしている」 その横顔が寂しげで抱きしめたくなったけれど、今は車の中。 「それは総悟さんに欠陥があるからではないです。貴方のことを好きな人だってたくさんいます」 フロントガラスに映る、ちらちらと雪が乗った木々。カーブの多い山道は、右へ左へ体を揺らした。 「街灯って人々に安心を与える役割があるでしょう。でも同時に蛾等の虫も寄ってくる。総悟さんもそんな感じだっただけです。気にせずこれからも、総悟さんらしくいてください」 「一度目の告白も、詩織はそんなようなこと言ってたよな。振られたけど」 冗談混じりに笑いながら社長が言った時、木の枝に残った雪が風に舞う。 キラキラと白く輝いて、なんだか夢の世界に来たような感覚に陥った。
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