風鈴で穏やかに涼みたい

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「ワンワンワンワンワンワンワン!」 「おおおおおおおおお!?」 「!?」  そんな良い雰囲気の夜だったのに、どこからともなく、犬の鳴き声と誰かの咆哮が聞こえてきた。思わず体がビクッと震える。なんでこんな夜に落ち着けない奴がいるんだと、毒づきたい気分だ。だが、それはそれとして、今の声はやけに近くから聞こえてきたから、様子を伺うために少し速度を落とした。  それと同時に、横から急に走っている人が現れた。 「はぁ!?」  すぐにブレーキを踏み込んだ。速度を落としていたお陰で、相手とぶつかる前に車が止まる。それが分かってから、口からゆっくりと空気が漏れていった。吸いなおして、また吐き出す。普段なら深呼吸をすれば少しは落ち着くものだが、事故になりかけた後だから心臓の鼓動はそう易々と収まってくれそうになかった。
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