風鈴で穏やかに涼みたい

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 そんな状態でも、車からは外に出なければならない。相手の身が心配だ。相手の姿がよく見えないから、おそらく道路の上で倒れている状態なのだろう。  車については、狭い道を端寄りで走行していたので、改めて寄せる必要はないはずだ。すぐにハザードランプを点けて、車から外に出る。 「あの、大丈夫ですか!?」  声をかけながら近くに寄る。車のライトのお陰で、相手の姿はすぐに分かった。どうやら十代後半くらいの青年のようだ。飛び出てきたときは大人の男かと思ったが、顔つきが若々しい。多分、青年だろう。 「大丈夫ですか? 怪我はしていませんか?」  飛び出し方が慌てていた様子だったので、何があったのか気にかかったが、先に安全を確認しなければならない。返事が欲しかったが、青年は動揺しているようで、青年は息を荒げている。加えて目の焦点が合っていない様子だった。車に轢かれかけたんだから、当然か。  だが、声は聞こえたようで、やがてこちらに目を合わせてくれた。青年は俺の顔を見ると、息をスッと吸い込んで、すぐに反対の方へと逃げ出した。 「え」  いや、怪我の具合を確認していないのに逃げられても困る。
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