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そして、泥棒に入られた被害者がすぐに駆けつけてくれたので、俺は見張りを任せて警察に連絡を入れることにした。
それから、泥棒はもう動く気をなくしたようで、警察が来るまでの間、大人しく被害者の家で待機することになった。一応、被害者家族は泥棒が逃げられないように彼を小部屋の中に入れて見張りを立てている。
俺は、彼が足を捻った理由が、おそらく車がぶつかりかけたせいだから今後のことが気になった。加えて事情聴取があるだろうから、このままここにいた方がいい可能性が高い。その旨を伝えて、被害者家族の家で少しお世話になれないか訪ねたところ、快諾して下さった。
窓際にあるウッドデッキに座らせてもらえて、お茶まで出してもらえた。被害者家族の父君らしき人が側にやってきて、笑顔を向けてくる。
「いやぁ、アンタのお陰で助かったよ。事故になってないかが気になって、アンタは冷や冷やしただろうけど、通りがかってくれて良かった」
「偶然ですよ。でも、結果的には大事にならなかったので、本当に安心しました」
「私もだよ! ハッハッハ!」
凄く上機嫌そうに笑う。それを見てか、さっきの犬も真似するようにハッハと呼吸をしている。喜んでいるのか、体温調整をしているだけなのか。どちらにしても、良い雰囲気の中でゆっくりできているなと感じた。
ふと、風鈴の音が耳に入った。音の方を見れば、窓の側に風鈴が飾ってある。
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