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風鈴で涼もう。そうしよう。
冷房も持っているし、扇風機や冷やしスイカまで家にあるが、風情を楽しみたい気分になってきた。見ていたドラマで、風鈴の音が耳に入ってきたせいだろう。
そうと決まれば、善は急げだ。もうすっかり夜になってしまったが、風鈴が売ってある店なら検討がついている。車の鍵と携帯と財布をさっさと手に取り、車に向かった。
外に出ると、蚊の羽音と蝉の鳴き声が鮮明に耳を刺激してきた。お前たちも風情と言えば風情だが、全く穏やかな気分になれない。眉間に皺が寄るのを感じた。長く聞きたくないので、車の中に入ったら素早くドアを閉めた。冷房を風量最大に設定して、蚊と蝉のデュエットから逃げるように走り出す。
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