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「理央、あの時、私に張り合ってたよね?」
「お互い様だろ?」
「うっ、確かに」
寝そべったまま、出会った頃の話に花を咲かせる。
理央は指で窓をつくり、星空を覗き、私は星座早見表を照らし合わせた。
出会いから今日までの他愛もない話に笑い合う。
理央と話していると、いつも時間が足りない。
また明日ね、と翌日に持ち越して、昨日話したりなかった会話の続きをする。
いつまでも、そうでありたかった。
「あの時さ、俺の話、嫌がらないで聞いてくれてありがとな」
「私の方こそ! 星のこと話せる友達いなくて、だからすごく嬉しかった」
いつもなら、とっくに眠くなっている時刻なのに、今夜は朝まで起きていられそうな気がした。
ゆるやかに、おだやかに流れるこの時間が永遠に止まればいいのにと、また星に祈る。
永遠なんかないことは知っている。
だけど、祈るのだ、祈り続けるのだ。
「奏とは、もっと色んな星を観たい。これからも、ずっと」
理央の言葉にギュッと目を閉じた。
私だって、そうだ。
これから先も、ずっと理央と一緒に眺めていたかった。
秋も冬も春も、理央と夜空を見上げたいって告白するつもりだった。
それなのに、なんで?
ねえ? どうして?
「観れたらいいね」
振り絞るように出した私の声は震えていた。
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