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俺は予期せぬ声の主に、変な声を出てしまった。視線を双子先輩達から、目の前に座る透の斜め後ろにやる。
そこには……わお! お初にお目にかかります。
生徒会長様こと、神楽坂 龍雅先輩がいらっしゃる!!
うわあ!
まじイケメンで、男の色気が溢れ出ているっ!
ん"ん"ー! 俺様スパダリ攻めっっっっ!!
脳内の受け攻めジェネレーターを起動してホクホクしていると、黙ったまま会長様を見ていたせいか、不機嫌そうに眉を寄せていた。
おっと……失敗失敗!
「すみません。どういった用件で?」
「お前今日から、生徒会のメンバーになったヤツだろう?」
「はい、そうですが……」
「お前が挨拶をしに来ないから、コッチから来てやった。感謝しろよ?」
「は、はぁ……?」
そう言って机に腰掛け手をつき、俺の顔にその鋭い眼光を浴びせる。
会長様……俺様気質でお坊ちゃんって事は理解しておりますが、机に乗るのは些かお行儀がわるぅございやすぜ?
「お? 龍ちゃーん、いたいた! どう? 新しく広報に就いた後輩くんは、発見できたー?」
謎な状況の中、どうする事も出来ずに見つめ合っていた会長様と俺。
透きゅんに至っては、もう他人のフリしてやがる。
そんな中一際明るい、間延びした声が響く。
おかげで、会長様が声の人物へと視線をやった。
いやん……イケメンと見つめ合うのは、流石に心臓がもたないわ。
というか、この食堂に来た理由は、転入生ではなく……まさかの俺だったりする?
俺が少し放心していると、目の前には生徒会メンバーが全員集合していた。
え、副会長様よ、貴方は巻くん目当てじゃないのかい?
そんな、すぐ俺の所に来なくても。
「えーっ、と?」
「お、君が山谷怜海くん?」
「あ、ハイ」
困惑している俺に、チャラ男会計こと朝比奈 千夏先輩が話しかけてきた。この際なんで名前だけで、俺を探し当てれたのかなんてどうでもいいっす。
もう、いいっす。
「へえ……!『サトミ』だなんて可愛い名前だったから、どんな可愛いチワワちゃんがメンバーになったのか知りたかったんだけど、意外にも美人な黒髪くんだったとは〜。いや〜、君みたいな真面目で清楚な美人タイプって俺、超好みなんだよねぇ?」
「……千夏、ダメだよ? 後輩くん……困ってる」
ペラペラとよく口が回るなぁとか、真面目で清楚な美人タイプって誰の事やろな〜とか思っていたら、話を遮ってくれたのは、ワンコ書記こと柳田 朔夜 先輩だった。
「おっと〜! そうだね、怜海ちゃんごめんね〜?」
「さ、怜海ちゃん呼び……あはは、ダイジョーブデス」
苦笑いを貼り付けた俺に、会計様はチャラ男スマイルで対抗してくる。
書記様はというと、俺の名前をなんて呼んだらいいのかと、ぶつぶつ言っている。
名前なんて好きに呼んでくれ……。
「すみません。担任の九重先生から、放課後に挨拶へ行くよう言付かっていたので。その時に伺おうとしたのですが……」
「残念な事に生徒会は放課後、暇ではありません。寧ろ今日1日、学園内で起こった問題解決や生徒会が担当する事務書類の作成、発案書・議案書の作成に皆バラバラに動き回ります。仕事内容は手が空いている者がお教えしますが、全員揃っての顔合わせは時間が取れませんのでコチラから来ました」
「そ、そうでしたか……ありがとうございます」
顔が引き攣っているのは許して欲しい。
だって想像以上に、この副会長様はいい性格しておられる。何が『生徒会はそんなに暇ではありません』だ……さっきまで、巻くんとイチャイチャしてたじゃあねぇぇぇぇか!!!
だけどこうも、生徒会の仕事が多いとは思いもしなかったな。というか広報が、こういう生徒会の活動報告をする役職だったっけ? じゃあ俺がどんどんと、発信していけば良いってことだよね?
「あーあ、巻くんつまーんなーい!」
「僕らの見分けが全然つかないんだよー?」
俺の考えを断ち切るように、巻くんに絡んでいた双子庶務様達がコチラに近付いてきた。
そして、今度は俺と目が合うと……ロックオンされた。
「ねぇ、君! 山谷怜海くんでしょー?」
「僕達とゲームしなーい?」
「いや、えんry……いいですよ」
何故か俺の目の前にフラグが……避けて通れないものかと考えたが、双子庶務様達の圧に負けてしまう。
くそぉ……顔が良いって得だな!?
『じゃあ、"どっちがどっちでしょうゲーム"ね!』
「ルールは分かるよね?」
「はい、じゃ目を閉じますね……」
俺は取り敢えず、目を閉じて双子庶務様達に呼ばれ目を開ける。目の前には、可愛いの擬人化が立っている。
はぁ……そういえば、さっき巻くんは散々ハズしまくってたなぁ……仕方ない。
「コッチが綾弥斗さんで、コッチが夏弥斗さんです」
そう2人の特徴を見て答えてやると、2人は大きな目を零れてしまう程に見開いた。
ふふん……即答したから偶々だなんて言わせないよー?
▶◀▶◀▶◀▶◀▶◀
はい。その後は3回、"どっちがどっちでしょうゲーム"をやらされました。
勿論、3回とも即答正解を叩きつけてやりましたよ! 俺も負けず嫌いだし、当てる度に『偶々だよ!』と主張されればムキにもなりますぅぅぅ!
「さ、怜海くん……凄いね、初めて会ったのに……綾弥斗と夏弥斗を、見分けてる……」
あ、ワンコ書記様。俺の呼び方それにしたのね?何? 一瞬、顔を赤らめておいででしたけど……はっ!! まさか、俺如きの名前を呼ぶのに、勇気を振り絞ったの!?!?!?
何それ可愛いっっっっっっ!!!
「ふん、お前は面白いな? どうせ成績だけで選ばれた、教師に媚びを売っているやつだと思っていたが。気に入った、お前を生徒会メンバーとして認めてやる!」
ワンコ書記様の行動に萌え悶えていたら、水を差すかのように俺様何様生徒会長様が、上からものを言ってくる。
これには基本は沸点激高な筈の仏の俺も、イラッとしちゃった…………にこりっ!
「いやいや〜。俺は"成績だけ"で、崇高な生徒会執行部に属する役職を与えて貰ったので〜? 会長様に気に入られても、期待される程の仕事は出来ないと思いますよ」
ニコニコと必殺︰優等生スマイル(糖分低め)をお見舞いしながら、精一杯の嫌味を生徒会長のお坊ちゃまに言ってやる。
って……チワワくん達、今は悲鳴を上げるタイミングでは無いのよ…?
普段のギャップにやられて、静かに生唾を飲み込む所なのよ?(理想)
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