本編

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 花ヶ崎男子学園、通称花学(はながく)。  ここは日本の本国から離れ、金持ちや全国で上位に食い込む程の成績優秀な男子(・・)生徒が集まった、離島の学園だ。  初等部から中等部、高等部とエスカレーター式になっている。  何が言いたいかって?  つまり、ここはBLの原石が沢山いるのだよ。ワトソンくん。  右を見ればイケメン、左を見ればチワワくん!!  そう腐男子である俺にとってここは、デ〇ズニーにも匹敵する夢の国なんだぁあ!!  因みに俺がなんでこの学園にいるのかは、ナマモノが見たかったからと言う単純明快な理由だけである!  しかぁーし! たったそれだけの為に、全国模試や全国共通テストなるものに、中学2年生の頃から上位にねじり入っていたのだ! つまり、全国で上位にねじり食い込む程に成績優秀な俺は、BLと言う扉が開いた時期から覚醒し、この学園を嗅ぎつけ1年前っ!! 見事に外部入学を果たしたのだ!  全ての腐レンドに告げよう、自給自足は方法によっては有り得ない程の努力を生み出す事を。  何せ、俺が今体現しているのだ!  ナマモノが見たいが為に、難関と言われる学園に下心だけで入学出来たのだから。  ただ、自給してるのかは甚だ疑問だがな。  わはははっ!  まぁそんな訳で花学で楽しくやってる俺だが、2年生になるまでに学園モノの王道である転入生は未だに現れて居ない。  流石に今年中に現れてくれなければ、俺の学園生活は盛り上がりを見せずに終わってしまう!  ここまで、BL(対象)を追いかける為に身体を鍛え、お坊ちゃまが多いが故に何かの間違いで退学させられない様に、猫を被ってきた事が無駄になってしまう。  そんな脳内でギリギリと、考えを詰まらせていると教室の扉が開いた。  そして、それと同時にチャイムがなる。  入って来たのはこのクラスの担任である、ホスト……ではなく生物学の先生でもある九重(ここのえ)伊吹(いぶき)先生だ。  別に、髪を染めている訳でもなく特段ヘアセットもしていない容姿なのに、白衣を羽織って黒いシャツを着ている色気ダダ漏れの状態。  その為、完全にホストだ。  気だるげな感じも、なんかもう『ん"ん"!!』ってなる。  時間的にホームルームが始まるかと時計をチラ見して、教卓に出席簿を置く九重先生へ視線を戻す。  なんや、めっっさイケメンやな。  九重先生はリバであって欲しいなぁ。  攻めの場合はネチっこくして、受けの場合は襲い受けってか?  なにそれ、尊っ。朝から体調良くなるわ!  真顔でそんな邪なことを考えていたら、先生と目があってしまった。  フっと『九重(ここのえ)の色気ダダ漏れスマイル・チワワの悲鳴混ぜ』の微笑を受けて、俺の脳内はその妖艶さに『誘い受けっっ!!!』と叫んでいた。
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