本編

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side 転入生 巻 優太 突然、鼓膜をぶち破る様な絶叫?が食堂の入口付近から聞こえてきた。周りにいる女みたいな男達が、きゃあきゃあと騒いでいる。 話を聞く感じ、生徒会集団が食堂にやってきたらしい。 なんだよ……人気者ってやつか? ただ食事を取りに来ただけで、こんなに騒がれるのも苦労するな。俺はこれまた豪華絢爛な食堂で、翔太と大牙と3人で机を陣取っていた。 隣の机には怜海が居て、俺には気付いてない様だが楽しそうな様子が盗み見れる。 男の笑顔が、あんなにクるものとは思いもしなかった。後ろの席の美人な男、担任の九重先生が下の名前で呼ぶヤツ。 そんな認識だが、自己紹介をしただけで友達にはまだなれていない。 「ねぇ優太、何したの?」 「ん? 何がだ?」 怜海の事を考えていると翔太が突然、そんな事を言い出した。俺は意味が分からず、翔太の目線の先を追いかける。そこには、生徒会集団がいた。ん? もしかして、コッチに来てるのか? 副会長さんがあの気持ちの悪い笑みを浮かべ、俺と目が合うと今度は不敵に微笑んだ。 「……視線がうぜぇ」 「ここに来てるのはもう確定だね……俺、何かしたかな」 大牙は心底嫌そうに呟くと、目を閉じてしまった。翔太はと云うと、苦笑いを浮かべて何かを諦めている。 そんな空気と化してしまった2人と、副会長に睨まれる俺(蛇に睨まれる蛙)の図が出来上がる。 生徒会のメンバーが、俺達の座る机の遠くに止まると、副会長が近付いてきた。 他の生徒会メンバー達は、寄ってきた沢山の親衛隊?とやらに囲まれている。 そんな中、副会長の目線の先にいる俺を、品定めする様な視線が周囲から感じる。 居心地が悪いな……。 「優太! また会いましたね、どうです? 学園には慣れましたか?」 「なっっ!? お前っ、あんな事しておいて何普通に話しかけて来てんだよ!?」 「ふふ……あんな事ってどんな事でしょう? 私はマーキング(・・・・・)しただけですよ?」 「な、何って……き、きき、き……ってあ"あ"ぁ!!」 副会長の意地の悪くつり上がった口元を見て、注目されている事を思い出し揶揄された事に気が付いた。俺は、副会長を思い切り睨みつける。 ギリギリだが、失言をしないで良かった……けれどそんな俺を見て、副会長は馬鹿にしたように笑っている。 「き、なんですか? ほら、言って下さい?」 そう言って副会長さんは、俺の唇を親指の腹で撫でる。コイツ今、食堂で自分がどれだけ注目を浴びてるの分かってやってる……サディストめ。 「どうしたのですか。忘れてしまったというのなら、思い出させて差し上げましょうか?」 そう耳元に囁いてくる。 突然の事に、顔が赤くなるのが自分でもよく分かる……あぁ、アタマにくる……。 感情のままにキッと睨み付けていると、副会長の後ろから声がかかった。 「いずみん! 後輩弄りはそこまでにしてあげなー?」 「この子が今朝、言ってた面白い子?」 「はあ……貴方たちもどうせ、興味本位でついて来たのでしょう?」 声のした方を見ると、そこには双子が揃っていた。同一人物が2人いる……ドッペルゲンガー……? 固まる俺に、2人は興味津々と云った様子でメガネで半分は見えない、俺の顔を観察してくる。 というか……この状況はなんだ???
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