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え、え、え、ゑ!?!?
あの、いつも胡散臭い微笑をお召しの、天下の生徒会副会長様が蕩けてしまいそうな笑みで、巻くんを呼んだ……!?
しかも下の名前で! もしかしてだけど、コレは今朝チュッチュしたな?(名探偵)
しかも他の生徒会のメンバーは、1年生のチワワくん達に囲まれてる状況で1人、副会長さんだけがそれを振り切って巻くんの所まで来てるし!
因みにチワワくん達、一般生徒の暗黙の了解で親衛隊の活動外では、表立って話しかけちゃいけないってのがあるらしく。
普通、こういった場所で声をかける事はタブーとされてるから、いま生徒会メンバーに群がっているチワワくん達は、1年生って事になる。
まあ……あの子達も3ヶ月後には、統率の取れたチワワになってるんだろうなぁ。
「なっっ!? お前っ、あんな事しておいて何普通に話しかけて来てんだよ!?」
ぼーっと、生徒会メンバーとチワワくん達の戯れを見ていると、隣から相変わらずな巻くんの大きい声が聞こえてきた。
まあ今回ばかりは、モブAという立場の俺にとってその声の大きさは、とても有難いのだがなぁ!! わはははは!
所で聴き捨てならないのだが、『あんな事』とはどんな事なのかね巻くんや?
副会長さんにからかわれ、テンパリまくっている巻くんを見て、副会長さんは口元を緩めている。だけど、悪代官みたいな子供に見せてはいけない笑みなのが残念だ。
隣の机で繰り広げられるイチャイチャに対抗して、俺も脳内の巻くん×副会長の会話を繰り広げていると、透が心底どうでも良さそうにため息をついた。
「なんだね、透?」
「お前が真顔な時って、大抵はろくな事考えてないだろ?」
「…………そうでもないさ、俺にとってはとても利益のある事を考えているんだよ!!」
「………………」
訝しげな目をして、黙ってしまった透をよそに、俺は再び巻くんと副会長さん達のいる方へ視線を向ける。すると庶務の、双子先輩が来ているではありませんか!
なんとまあ可愛いのでしょう!!!
サーモンピンクの髪色にタレ目の双子は、鏡合わせにしたように、髪型やメイクに気を使っている。マッシュウルフの髪型は、外ハネの襟足の角度までも一緒に見える。
双子の兄である、愛川 綾弥斗先輩は右目の下にホクロがあり、前髪も右から左へ流すのがいつもの髪型だ。
双子の弟の方である、愛川 夏弥斗先輩は綾弥斗先輩とは対称的に、左目の下にホクロがあり、髪型も左から右へと流すのがいつもの髪型である。
のだが………今日は2人とも前髪を全て上げ、ピンで留めている。
そして、目の下のホクロもご丁寧にコンシーラーで消してある様だ。遠目から見れば、2人の違いなど無いに等しい。
が!!!!!
何を隠そうこの俺は、今この状態の2人を見分ける事が出来るのだ!! 何故かって?
簡単なことだよ、ワトソンくん?
眉毛の違いだよ。
眉毛が平行なのが綾弥斗先輩で、すこーし! ほんの、すこぉぉぉしだけタレているのが、夏弥斗先輩なのだよ。
この点に関しては、恐らくだけど夏弥斗先輩がメイクで上手いこと描いていなければ、大体当てる事が出来る。メイクなんて、いつも全く同じに出来るとは限らないからね!!
「僕、愛川 綾弥斗!」
「僕は、夏弥斗! ねぇ、巻くん?」
「な、なんだ……ですか……?」
お? この流れはもしかして?
『"どっちがどっちでしょうゲーム"やろ!』
「えっ……と?」
きたぁぁあぁぁあ!!!!
よし! コレでシャッフルされた双子の事を当てる事が出来たら、総受けルートにいけるかもしれない!!!
だから2人は態々、それぞれの特徴を消していたのか……。
遊びに手を抜かない感じは、大変好ましいです!! 可愛い!
俺が脳内でキャッキャウフフとしていたら、双子にルール説明をされた巻くんが、渋々頷いた。
「じゃあ、目を閉じていて?」
「僕らが呼んだら、目を開けてね??」
俺はシャッフルしだした双子を見て、自分も挑戦しようと目を閉じた。
こういう分からない時にあの眉毛作戦は有効なのか、試して見たくなったのだ!
『いいよー!』
双子の声に目を開けて、静かに観察する巻くん(と俺)。そんな巻くんに、可愛くアピールする双子先輩。はい、眼福〜! 君の瞳に完敗ってか?
うるせいやい!
所で俺は分かったよ、巻くんは悩んでるみたいだけど。左が綾弥斗先輩で、右が夏弥斗先輩だ。俺、優秀なのでは?
「…………全然、分からない」
『ふふん♪ ヒントはねぇー』
え!? 分からないの!?
そこは王道パワーで、どうにかなんないの???得意げな双子がヒントを出そうとした時、俺は威圧的な存在に話しかけられた。
「おい、お前」
「んぇ?」
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