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婆ちゃんは、先代がいいようにしてくれたもんだから、息子もやってくれるだろうと思ったら、手数料だ、なんだかんだって、金を請求してきたんだそうだ。
そしたら婆ちゃんおこるよな。
「当たり前だ、金なんかびた一文払うかって、今までの取引、全部チャラにするみたいなこと言ったんだよ」
へー。
「へーじゃねえよ、あの辺ほとんどが婆ちゃんのもんだぞ、それなのに、あいつ、自分の物みたいなこと言いやがって」
ほとんどが婆ちゃんのもの?
「それでそうしたんだ?」
西ヤンの側にある不動産屋に頼みに行ったんだそうだ。
あったっけ?
古いけどな、あるという。
で、婆ちゃんはごそごそ一人でやっていたようなんだけど、今こんな状態になっただろ?俺心配でさ。
「じゃあ何?六ちゃんは、その不動産屋が何かしようとしてると思ってるの?」
「うん、だって古田の名前が出たじゃん、あいつ、事務所くるとついでにあそこに寄ってるんだ、何回か見たから間違いないと思うんだ」
まじかよ?
六ちゃんに、これは内緒にできないよと言いながら帰ってきた、彼は分かったと言ってくれたけど…。
カラカラと玄関を開けた。
そこには仁王立ちで腕を組んで立っている、娘と四つん這いの息子。
「こんな時間、どうしたんだ?おしっこか?」
してきたという姉。
「じゃあ寝ろ」
と俺は洗面所に行き手を洗い、うがいをして顔を洗った。
「パパ、こんな時によく飲んでこれたね」
ずぎゅん、胸痛い。
「お仕事だから」
「おお婆ちゃんになんかあったらどうするんだ」
そう言ったのだ。もう今は何でも喋りたがってうるさくてしょうがない。
今は大丈夫だろ?さあねるぞ。
「年より何だから考えろ」
「はい、はい考えます」
どこで覚えてくるんだよ?
どかどか二人が歩いていく先は
「お帰り、遅かったね」
そこに居たのは尚。
「尚、ママは?」
病院、おばちゃん用事があるからって、急きょ交代。
ああそれで機嫌が悪いのか。
「母ちゃんは?」
奥で寝てるという。
「ありがとな」
「俺はいいんだけどさ」
二人は、尚の椅子の後ろで寝息をかき始めた。
俺待ってたの?
まあな。
悪い。祐は?
そういや叔父さんの所に行ってまだ帰って来てないな?
事務所には明かりはなかった、二階かな?
すると玄関が開く音がした。
「只今、帰ってたんだ」
今帰ってきた。
祐は向こうと指さした。台所だ、話は向こうがいい。
叔父さんの話は、俺がにらんだ通りの話だ。
「弁護士はもう俺たちから離れているし、何かを頼んでいるというのはなかったんだ」
そうか、それで?
「うん、叔父さんも煮え切らないみたいなんだけど、土地の事みたい」
やっぱりな。
「聞いたか?」
祐は、豪が借りたときに一緒に行ってきたからそれだけはわかるけど、従業員の住むところはよくわからないと言っていた。
明日、調べるって。
そうか。
横浜の方は、大介君たちが行ってくれるそうだ。
「叔父さんもできるだけここにいたいからって」
「そうだな?」
でも、祐のその言葉が妙に引っかかったんだ。
横浜?
さいたま?
んー。神奈川?なんでだ?
俺も明日だな。
子供たちの寝顔、二人を抱いて自分たちの部屋へと連れて行った。
爆睡の母ちゃん、感謝です。俺も眠った。
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