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ここは商店街の中にある写真屋。
入り口には、まだ俺の写真集が飾られている。
「まっちゃん、来たぞ」
「こっち、上がって!」
中に入ると知らない男性二人がいた。
一人は、この間六ちゃんから聞いた、婆ちゃんが頼んでいるという白井不動産社長、白井さん。それと。
「木元工務店の佐藤と申します」
ああ、そうだ、と俺も名刺を出した。
まっちゃんは俺たちの前に、長い紙を出してきた。それを広げた。
これ、ドローンで撮影したこの街の写真。
さすが写真屋と新し物好きの彼だ。
「これは私が彼に依頼したものです」と言ったのは佐藤さんだ。
「いいか、大上さん、しっかり見てくれ」そう言った白井さん。
その上に、セロファンのような物をかぶせた。
ここにかかれているのは、婆ちゃんのわかっているだけの土地だという。
でも見てください。
なんだ?
「虫眼鏡いる?」
「ああ、頼む」
「微妙なんですけどね」
本来、土地は、道路に沿って区画されている面が大きい、特に大きな土地は、縦割りされ、数件の家を建てたりするからわかりやすのだが。
なんだか一回り小さいな?
「削れてる?」
「そうだ、それでな、もう一枚」
はいと、その上にさらに一枚乗せられた。
これは熊野組と上田が何かしら関係した会社が建てた建物だという。
「なんだ、婆ちゃんの土地の隣にかかってる」
全部ではないが、パッと見ただけでわかるほど隣にピタリと物件が並んでいる。
「おかしいだろ?」
そっか、それで微々たる土地なんだけどさ、と六ちゃんが言っていたのがわかったような気がした。
「ちょっとした裏口をつぶしたりして、せこいマネするな」
「でもなんでこんなことするんだろ?」
俺はフンと鼻で笑った。
「何にも知らない婆ちゃんに、ボケで、譲ってくれたの忘れちゃったんですーって言って一発だ」
無理だろ?
いや、できるかもな、と腕を組んでいう。
「ですね、これだけの数、あり得ます」
さて、どうしたらいいもんか?
俺は力を貸してほしいと、その話をし始めたんだ。
「わかった、元の地主だな」
「お願いします」
「こちらは測量結果と、市に出されている物を比べます」
よろしくお願いします。
「俺はこのしるしのある家のドローン撮影だな」
「頼む、ちゃんと住人に許可もらってくれ、そうじゃないと」
「わかってるって、後あと何か吹っ掛けられるのも考えねえとな」
「ありがとう、よろしくお願いします」
その足で、杉のドアをくぐった。
「社長は?」
「晃さん、現場です」
今どこ?
ホワイトボード見上げた、電話はできそうだな。俺は電話をかけた。
それで俺は何をしたらいい?
杉で把握している不動産、それと…。
「わかった、お前今どこだ?」
事務所にいると話した。
一度切ると言い、電話が切れた。
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