第十話

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「うそだー?」 「そういう事さ、上田の息子は死んだオヤジにそれを吹っかけ、財産放棄をすれば、それは息子には降りかからない」 「まじか?」 まじだ、とその前の書類には、死んだ不動産屋の名前がしっかりと書かれていた。 のっとったものと言っていたけどそれはなんですか? 「税金だよ」 「まさか税金、二重に取られているとか?」 この人からはないが、土地はあるよね。 ああそうか、そこからですか? そうだと言われた。 でもどうやって? それも住所の改ざんなどもあるらしい。 実際、このアパートの住所は三丁目1-1になっている。 だが、駐車場の方はない。 地主さんの方は、この駐車場を挟んだ向かい側が三丁目14-2、そして駐車場が14-1になっている。 「住所が消えた?」 「そう思うだろ?」 そこで出されたのは、駐車場を囲んだフェンスが映し出された写真だ。 「このフェンスが、この住所なんだとさ」 「はあ?」俺は変な声を出してしまった。 こんなことがあっていいのか? 「これどうにかならないかな?」 「それをするのが文屋の仕事じゃないのかい?」 いいんですか? 俺はそのつもりだがな。 「ありがとうございます!」 何かわかったら教えてくれよ。 「はい!」 相続登記は義務ではないから改ざんされやすいのか、そこに目をつけたのか? 杉社長から連絡、弁護士が来るというので急いで家に戻った。 遺産分割協議書? これは、遺産はここにかかれた人以外は触れないという物だそうだ。 これに記入していない人は、いくらなんでも不動産なんか簡単にはいじれなくなるものだという。 婆ちゃんの遺書が開封され、俺たちはそれにかかれていることを知った。 それにかかわる者達がすぐに集められ、その書類は作られることとなる。 これで一安心といったところだ、ばあちゃんもほっとした所だ。 その後、開封したからもう一度作り直さなきゃいけなかったけど、そこは弁護士がいるんだ、大丈夫と思いたい。 なんだかみんなを疑いながら見るようで嫌だけど、どこで誰がどんな繋がりを持っているのかわからないからな。
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