第十一話

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「これ、水道のメーターですか?動いてますよ?」 そこに並んだメーターと止水栓は四つ。 祐と警官も出てきた。 聞いてみるかと都の水道局へ電話してもらった。 「はい、土地が低いから、近所の四つですか、教えてくださいますか?」 それを聞いた祐は、右隣と後ろの二軒だという。 へー、と何気に見たのは塀。 そういやフェンス…ん? 何だ?二重になってるな? 「なあ、これって隣のか?」 「意味ないですよね、隣にも塀ダブルであり得るのか?」 みんなは首を振る。 「あ」 祐が声を上げた、裏の人ならわかるかも。 裏? そのまま、俺たちは、裏庭へ行くとそこも塀で囲まれている。 「おーい、こっちはないぞ」 左側の壁は一枚、それも分厚くて、地震が来ても大丈夫そうだが。 地震ですかね? それにしちゃ変な形だな。普通壁があれば、植え込みやなんかがあったり、ほとんどは何もしないんじゃないのかな? 「行ってみる?」 今の時間だとお手伝いさんがいると思うと裏の家へぐるりとまわりこんだ。 大きな家ばかり流石官邸通りと言われるだけがある。 歩いているだけで、有名どころの苗字がずらりだ。 祐は躊躇なくボタンを押し、迷惑を開けたとあいさつ回りをしていると話すと御年配の女性が出てきた。 お世話になりましたと、いつの間に持ってきたのか、雀の菓子折りを手にしていた。 そこで水道メーターと壁の話をしたのだ。 「ああ壁ねー」 本当は境界線でもあるから必要ないのだが、祐たちが入る前の人が自分の土地を誇示するように壁をたてたらしい。 「じゃあ、壁との間は、祐たちの家の物になるんですかね?」 「さー、そこは不動産なんか詳しくないから聞かないと」 これか? 「あの?こちらの壁が低いようなのですが見せていただくことはできますか?」 構わないというので見せていただいた。 「すげーゴミだな」 「あら、こんなのなかったのに」 え? 「何もなかったんですか?」 俺たちの騒ぎの時、警官が入ってきていたから、家族の人とよく見ていた、その時はこんなのなかったというのだ。 四年、こんなになるかしらと言う人。 「すみません、入っても」 「いいけどー」 「俺じゃ無理だ、祐」 人が横になってもきついかもしれない幅しかない。 裕は、ブロック塀の上を器用に歩き長い棒はないかなと言いながらそれを見ていた。 みんながなかを覗き込んだ、いろんなゴミがあるがその下には黒いごみ袋が見えている、お手伝いさんがほうきの柄の部分だけのを持って来た。 使えるかなというがゴミ袋に穴をあけるくらいはできないか?と指示。 祐はそれを引っ張りながら、体がギリギリ入れるところへ持って行った、出すのは手伝う。 「晃さん!」 手にしたものを掲げた。 土地調査資料。 「見つけた!」 「まじか!」 「応援だー」 その方に、俺たちが出て行った後入ってきたのは誰ですかと尋ねると、秘書さんほら、あの野球選手と同じ名前の。 「古田!」 そうそう、なんて、いわれたのだ。 「きまったな」 「まだだけどな」 俺たちは写真を撮り続け、警察が来て、そこから持ち出したものは一時預かりとなったのだ。中には不動産関係の物が丁寧に何重にも袋がかけられた状態で出てきた。 古田は、まだ家が売れないのをわかってここへ置いたのだ。 俺と新人以外は帰り、その様子もちくいち社へ送っていた。 背中を叩かれた。 振り返ると、麻木さんともう一人見覚えのある警察官だ。 お久しぶりです星野さん。 「まったく、なんでこうなったか教えてくれや」 「そりゃもう、ただこれ、まだ内緒でお願いします」 あの家政婦から漏れないか? そこは十分念を押してきましたから。
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