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ふアー。
あくびをした、目があったのは、新しいキャップ。久保さん、大阪から戻ってきた栄転組だ。
前任者、俺たちの仲人、三上編集長は、現場を離れ、文化部にある文芸誌の方に回った。
一応定年退職という形にはなったが。現役で働きたい年よりは多いから、会社側もただで捨てないとアルバイトという形にして六十五歳以上の人も使っている。
だからかなー?
ぽかっと何かでたたかれた。
「あ?」椅子にもたれたまま上をあほのように見上げた先。
「あ、じゃねえ、暇なら手伝え」
頭をかいた、断れないシー。
久保さんは顎で行けと言ってるし、シャーねーか言ってきますと、カバンを手に文化部へと向かった。
「お疲れ様です!」
そこは、姥捨て山、まずい、俺も年をとったらここに来るかもしれねえのに。
「泉さんは?」
「白内障の手術でな、悪いがカメラマンと思ったらお前しか浮かばなかった」
いやー。
「褒めてねえから、もっと腕のいい奴はいる」
「もう、そんな事わかってますよ」
と口をとがらせた。
昼、杉社長から電話が入りそれをとった。
ばあちゃんが転んで骨折したと言う。
そんな大したことじゃないが年齢的に、無理はできないと言う。来年は八十五、大往生だなんて言っては頭を殴られ、まだヤングだと話していたんだけど。
場所は、足、詳しくはまだわからないと言うのだが、寝たきりになってしまったらなんて言うのが頭をよぎった。
「どうした?」
「ばあちゃん、足の骨折ったって、入院だそうです」
「足か―、寝たきりにならないといいがな」
「編集長も気お付けてくださいよ、奥さん大変なんだから」
「爺扱いすんじゃねえよ」
「心配してるだけじゃねぇか」
話は趣味と健康の話、年を取ればそんな話ばかりさという人たち。まあそれだけゆとりが出来たんだろうな、バリバリの仕事をしていた人たちの息抜きの場がここだったんだろうな、楽しそうだもんな。
定時で上がれと言ってもらえた。
ラッキー、俺は真直ぐ聞いていた病院へ向かった。
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