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血しぶきの街
しゅん君は酔っぱらった私に煽られるままお酒を飲んでしまい、機嫌が良かったかと思いきや、いきなり不機嫌になり私に愚痴を言って来たり、もっと良いボトルを入れろと命令して来たりした。
そして、最終的に耐えかねた私がヘルプの男の子に「もう帰る」と告げると、送りの際、店の出口のところでしゅん君は私を殴り飛ばした。
「お前のせいで店で酒を飲まなきゃならなくなった!」と大きな声で怒鳴ら、引っ叩かれた。
私は、酔っては理不尽に私を殴る父を思い出して震えあがった。
頭が真っ白になり、頬に感じる熱だけが鮮明で、逃げたい、とそれだけが頭に浮かび、咄嗟にいつもバックに隠して持っていた貝印の剃刀で思いきり手首を叩きつけた。
ホストクラブが密集している界隈の店の出先、まさに道端、人の行き交うそんな外のど真ん中で、私の細い手首から血しぶきがあがった。
完全に頭に血ののぼったしゅん君は、腕から大量の血を流す私を人が集まり出した道路のど真ん中で蹴っ飛ばした。
大声で虐待されている子供のように泣き散らかす私は、何度も剃刀で手首を叩く。
私の周りには点々と血の色が散らばっていて、道路には細かな血だまりが沢山出来ていた。
店の他のホストたちがみんなでしゅん君を羽交い絞めにしてとめてくれる。
「また警察きちゃうから!」「もうやめなって!女のコだよ!」なんて叫んでいた気がする。
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