酒の飲めないホスト

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酒の飲めないホスト

ちなみに、「つきあって」と言われてホストと付き合ったこともあるのだが、完全に「色営」だと思い込んでいた私は、全然そのホストに自分から連絡をしたり、甘えたりすることが一切なかった、と言うことがあった。 月曜だったか火曜だったかでお店はすいており、客もまばらな日のことだ。 その私に「つきあって」と言ってきたホストは、「お酒が飲めないホスト」だった。 一滴も飲まないし、私にガンガン飲むことを勧めても来ない。 彼のことはとりあえずしゅん君(仮)とする。(すぐに終わる話だが) いつもいつも、自分には何もオーダーしなくて良い、何も頼まなくていいから、好きなのを飲みなよ、と言うのだ。 顔が特別良いわけではないけれど、背が高くて、会って数分で私を彼女のように扱うような素振りをして来た人だった。 私は、何も頼まなくて良いなら金が減らない、と言う理由でそのしゅん君のことを指名した。 そして数時間を共に過ごし、帰る頃、彼を送りに選ぶと「つきあって」と言ってきた。 本当に変なやつだなと思った。 彼女のように扱うと言うのは、いきなり普通に肩を組んできたり、手を握って来たり、とにかく馴れ馴れしいのだが、お酒を作ったり煙草に火をつけてくれたり、灰皿を新しいものへ変えてくれたりだとか、そういう些細な気遣いは決して忘れない。 私は気に入った人から彼氏面をされるのが大変に好きな女だったものだから、気分が良くなったのだ。 彼と出会ったことで、私は一つ、この街で恥を増やすこととなるのだが、この時は何も知らず、ただ愉快に笑って過ごしていた。
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