私たちはなんとなく青い

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「海着いたな」 「人いないね」 「ここ、俺の秘密のビーチ」 「何それ」  賢二が私を連れてきた浜辺は、観光名所で有名なところではなく、地元の人でも知らないような人気のないところだった。  浜辺には照明が一つだけ付いている。  よく見ると、錆びついたベンチやブランコがあるじゃないか。  恐らくここは、小さな公園の跡地のようなものなんだろう。  私たちはベンチに腰かけて、海をなんとなく見つめる。  右隣の賢二が水平線を見つめながら口を開いた。 「俺、家がこのあたりなんだ。小さいころこの浜辺でよく遊んだ」 「ふうん」 「興味なさそ」 「まあね。海辺の公園なのに遊具の潮風対策しなかった理由が気になってしょうがない」 「そこかよ」  呆れる気持ちを通り越してもはや面白いといった様子で、賢二は吹き出した。  その笑い方がなんだかおかしくて、私もつられてクスリと笑った。  そこまで面白くもないなと思いながら、私は前髪をクルクルといじる。 「賢二って私のことわかってないよね。こんな公園より、もっとキチンとした浜辺の方がいいんだけど」 「人が居なくていいじゃん」  確かに人がいない。  でも、誰もいないのは怖いでしょ。  夜の海も不気味だよ。  なんか、見えちゃいけないものが見えちゃいそう。 「まあ、賢二らしくていいけどさ」 「俺らしいってなんだよ」 「賢二を賢二たらしめるなにか」 「哲学?」  そんなどうでもいいことを話しているうちに、日が水平線の彼方に沈もうとしている。  黒とオレンジのグラデーションになった空が夜を呼び、月が輝きを増し始めた。
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