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週末の一句
「なつ……夏、夏の夜……」
町田浩三は、手にした短冊に筆を走らせた。
ここは、家の近くにある集会所。今日は週末の土曜日に開かれている「俳句の会」のメンバーが集まっている。
町田は今年定年を迎え、40年近く勤め上げた会社を退職した。妻も「お疲れ様」と始めのうちは労ってくれていたのだが、流石に一月も経ってくるとうざがるようになった。
『せめて、週末くらいは出掛けたらどうなの?』と、勝手に町内会の集まりに参加させられてしまったのだ。
元々、趣味らしい趣味もなかった町田は「まあ、たまにはいいか」と軽い気持ちでいたのだが、まさかそれが『俳句の会』とは聞いていなかった。
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