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俺と浅宮は、目的のカフェに到着して向かい合わせで座っている。立地の割に店内は広々としており、木の温かみを感じるような優しいインテリアが有栖の好みの店だ。
「ここは有栖が気に入ってる店で、俺もよく連れてこられるんだ」
通学路から少し外れたところにあるカフェで、値段も安めでゆっくりできるので時々ここで有栖とダラダラ喋ったりスマホゲームをしたりしている。
「ここに来れば会えるかもしれないんだな……」
そっか。浅宮はここにくれば偶然を装って有栖に会えるかもしれないって思うんだな。
「そうだ。今度俺と有栖がこの店に来るときに浅宮にこっそり教えようか?」
「え! だって俺、三倉の連絡先知らないし……」
「LINEでも交換する?」
「いいの?!」
「うん」
「うっそ、すげぇ嬉しい! どうやったら連絡先聞き出せるか昨日SNSで調べまくったのに、三倉のほうからそんなこと言ってくれるなんて思いもしなかったよ」
何を陰キャみたいなこと言ってるんだよ、お前学校でたくさん友達いるだろ。
俺と浅宮は連絡先を交換する。
「やっば、嬉しすぎる。これって俺からも三倉に連絡していいってことだよな……?」
「え? いいけど……」
当たり前だ。こっちから一方的に連絡を受ける気でいたのか?
「俺、今日勇気出して三倉に声かけてよかった。さっきから楽しすぎる」
「まだ店に来ただけで何も飲んだり食ったりしてないけど……」
なんだかわからないが、浅宮が楽しいならまぁ、いいか。
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