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2.初めてのデート
「三倉。あのさっ……」
あれから一週間後。すっかり元気になった俺のもとに浅宮がやってきた。
浅宮に呼ばれてまたいつかの教室でふたりきり話をする。
「また俺に協力してくれないか?」
協力……?
ああ。浅宮と有栖の仲を応援してほしいってことだな。
「なに? 俺に何をして欲しいんだ?」
俺が訊ねると、浅宮は映画のチケットを見せてきた。
「こ、これ貰ったんだけど、俺と一緒に行ってくれない?」
「えっ! なんで俺?! 有栖を誘えばいいのに……」
「いや、あの……れ、練習だよ。これアクション映画だし、三倉と行って、デートの練習がしたい……」
デートの練習?! そんなことをしなくても浅宮ならどうせうまくいくんじゃないかな。
まぁ、でも最初のデートで失敗したらどうしようって気持ちもわからないでもない。
「いいよ。協力する」
「いいのか?!」
「うん。有栖の好みならよく知ってるし、本番のために教えてあげるよ」
「ありがとな! じゃあ今度の日曜日でいいか?」
「うん」
「うわぁ! やった、初デートだ!」
いや、何言ってんだ。初デートに行く前の練習の間違いだろ。
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