2.初めてのデート

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 そして日曜日。  駅で浅宮と待ち合わせをして、映画館へと向かう。  イケメンってすごいんだなと思った。前を歩く女の子がハンカチを落としたから浅宮がさっと拾って、それを手渡す。「ありがとうございます!」と言って女の子はハンカチを受け取ったあと「もしよかったら連絡してくださいっ!」と連絡先を書いた紙を浅宮に差し出す。そこから「すごくかっこいいですね。私の好みですっ!」なんてアピールされて……。  途中から気がついたけど、女の子はわざとハンカチを浅宮の目の前で落としたようだ。浅宮と話すきっかけを作るために。だからさっきから女の子は必死で浅宮に話しかけ続けてる。  結局「急いでるから」と浅宮が振り切って、ふたりで足早に映画館の中に入った。  浅宮に言わせると、街で声をかけられることなんて日常茶飯事らしい。  浅宮とふたりでドッキドキのアクション映画を見終えたあと、今は、浅宮が「TVで観て美味そうだったから」と言って予約してくれていた人気店でインスタ映えしそうなチーズハンバーグを食べている。 「浅宮。こんな感じでいいと思うよ。映画館で有栖はポップコーンは食わないから買わなくていい。それで有栖はハンバーグ好きだし、これすごい美味い」  浅宮のデートプランはいいと思う。有栖とのデートの時は、アクション映画をホラー映画に変えればいい。有栖の映画館での行動は、今日、浅宮にレクチャーしておいた。  人気店を予約してあるっていうのも「昼メシどうしよう」ってオタオタしなくて済むし、有栖はハンバーグ好きだ。本番もこのプランで行けば有栖はきっと浅宮に好感をもつだろう。 「ホントか? 俺さ、そういうの苦手だから。でも良かった。三倉が楽しいって思ってくれたんなら」  俺を楽しませてどうする、と浅宮に言ってやりたかったが言葉を飲み込んだ。これはデートの練習だってわかってるけど、俺自身がさっきからすっかり楽しんでしまっている。  浅宮は一生懸命考えたんだろうな……。有栖のために。こんなに浅宮に想われてるなんて有栖は幸せだな……。
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