3.初めての恋

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「三倉は?」 「ん……?」 「三倉は俺のこと応援してくれるけど、逆に三倉は好きな奴いないのか?」 「なっ……!」  なんてこと訊くんだよ! 言えるわけない言えるわけない。本人を目の前にして言えるわけないだろ! 「いっ、いいんだよ、俺のことなんて! 俺は浅宮が幸せになってくれたらそれでいいんだ」  頼むからほっといてくれよ。俺は有栖にはなれない。有栖と比べたら俺なんて下の下の下だ。そんなことはわかっているから。 「おっ、俺そういうの別に興味……ないから……」  もちろん嘘だ。  最近は浅宮のことばかり考えるようになっていた。なんでこんなに浅宮が気になるんだろう……。 「付き合うとかどうでもいいし」  なんか虚しくなってきて、泣きたくなんかないのに涙があふれてくる。それを浅宮にバレたくないからそっぽを向いたのに、こんなときだけ敏感な浅宮は、わざわざ移動してまで俺の顔を覗き込んできた。 「三倉……泣いてる……?!」  言うなよバカ。  俺がかぶりを振って「泣いてない」と否定してるのに、「えっ、なんで泣く?!」と浅宮は慌てている。 「ごめんっ。ホントごめん……。変なこと訊いた俺が悪い」  本当にそうだよ。俺はギリギリのところで気持ちを抑えて耐えてるんだから。 「もしかして三倉、好きな人が……」  駄目だ。浅宮にそんなこと言われたら涙を堪えきれなくなってきた……。  浅宮が指で俺の涙を拭った。やめろ。優しくされると余計に辛くなるんだよ……。 「わかるよ。泣くほどそいつのことが好きなんだろ……」  そうだよ。靄がかったみたいな気持ちだったのに、今日で俺は、はっきり自覚した。  俺は浅宮が好きだ。 「お前を泣かせるような奴は俺がぶん殴ってやりたいよ……」  俺を泣かせたのは浅宮、お前だ。自分の頭でもぶん殴ってろよ……。 「俺、三倉のこと応援するよ。三倉だって俺のこと応援してくれてるんだから」  それは無理だ。この世に浅宮はひとりしかいないんだから、浅宮×有栖か、浅宮×俺のどちらかしかない。浅宮の想いが叶ったら、必然的に俺の願いは叶わないんだよ。
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