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4.初めてのキス
『明日ひま?』
昼休みに突然の浅宮からのLINE。俺は飛びつくように確認する。最近浅宮からの連絡が嬉しくてしょうがない。
明日は土曜日だ。何かの誘いなんだろうか。
明日は学校のあとは特に何も予定はない。一体何の用事かわからないけれど、浅宮と一緒にいられるなら、何の誘いでもいいか。
『暇だよ何?』
と俺が返信すると、
『学校のあと、俺んちに遊びに来いよ。ゲームやろ』
と即レス。
え?! 浅宮の家?!
浅宮の家になんて行ったことがないし、浅宮の家族もいるかもしれないし、ちょっと緊張するな。
『俺の他に誰か来んの?』
『来ない。誰も誘ってない』
おい、ふたりだけかよ! しかもまたしても即レス。俺はそんな速くレス返せないから!
どうしよう……。行きたいけど……。
「三倉? どうしたの?」
俺の異変に気がついて、俺と向かい合って昼メシを食べていた有栖が俺の様子を伺ってくる。
「えっ! いや……あのっ……」
有栖には浅宮とのことを知られたくない。浅宮が実は告白前から俺から情報収集したり、デートの下見をしたりしているなんて、有栖にはバレてはいけない。
「なに?」
うわぁやばいぞ。俺の誤魔化しが下手すぎて有栖は完全に何かあると察してる……。
「そのうちわかるよ」
「え?」
「今は言えなくてごめん。でも、有栖にとって悪いことじゃないよ」
有栖。君はもうすぐ浅宮に告白されるんだよ。
「そうなんだ。まぁ、三倉が困るようなことじゃなければいいけど……」
「俺には関係ない話だよ」
本当にそうだ。悲しいけど俺は脇役でしかない。
「有栖はいいよなぁ。人気があって、モテモテでさ」
俺の言葉に有栖が目をぱちくりさせている。その動作もすごく可愛らしい。
「三倉がそんなこと言うなんて珍しいね」
有栖はきょとんと不思議そうな顔をしている。
今まで有栖がモテてもこんな気持ちになんてならなかった。むしろ、さすが俺の幼馴染! としか思わなかったのに、今は有栖が羨ましいと思ってしまっている。
俺、耐えられるかな。
もしも浅宮と有栖が付き合うことになったら——。
今から覚悟を決めておいたほうがいい。親友と好きな人が付き合うことになるなんて、かなりの地獄だろうから。
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