1.熱い視線

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「有栖はすごいよ。中学の時もモテモテだしさ、あの顔で性格もいいし頭もいいしさ」  嘘じゃない。有栖は俺の幼馴染とは思えないくらいに優秀なんだ。いくら顔がいい浅宮でも敵わないんだぞ。 「へぇ……やっぱりモテるよな……幼馴染だし、ライバルとしては最強だな……」  浅宮はなんだかブツブツと独り言を呟いている。 「有栖はああ見えて、実はホラー映画が好きなんだ。もし映画に誘うならそういう映画だと喜ぶんじゃないかな」  どうだ? 浅宮。なかなか有力な有栖の情報を流してやったぞ。有栖を映画デートに誘うときの参考にするがいい。 「えっ! ホラー映画?!」 「意外でしょ?」 「それって『怖い!』とかなんとか言って抱きついちゃうパターンありじゃん……。三倉は有栖と一緒に映画観に行ったことあるのか……?」 「え? まぁ、何回か……」 「うわ、羨ましいな……」  羨ましい、か。まぁ、確かに有栖と映画に行けるのなんて俺くらいなものかもしれないな。 「そうだ、浅宮。このあと時間ある? 有栖の好きなカフェが学校の近くにあるから教えてあげようか? 一緒に行く?」 「えっ!! それって、俺と三倉のふたりだけでってことだよな?!」  ん……? ああ。有栖は来ないのかってことなんだろうな。あいにく今日、有栖は部活&塾で大忙しだ。 「そうだよ。有栖は来ない。それでもいいな——」 「行くっ! 行くに決まってるだろ! 急にドキドキしてきた……」  浅宮はすごいノリ気だな。そんなに有栖が好きなのかな……? まぁ、推しの通ってる店に行くみたいなものだからドキドキしてるのか。
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