1.熱い視線

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「あ、あの……三倉は何をするのが好きなの……? 映画とか、カラオケとか、遊園地とかさ……」  え? なんで有栖じゃなくて俺のことを聞いてくるんだ?  あー、なる。有栖のことばっかり聞くのもあからさまだし、俺に悪いと思ったんだな。 「俺? 俺は映画が好きだな。でもホラーよりはもっとこう、アクション系が好きなんだけどね」 「そうなんだ。それじゃ俺もアクション系を好きになるわ」  意味がわからないぞ。なぜ趣味を揃えようとする……? 「あっ、あとは? すっ、好きな芸能人とかいる?」 「あー。お笑いのミドルっていうコンビいるじゃん? 俺も有栖も最近結構ハマってるんだよね」  ほら、さりげなく有栖情報も混ぜてやったぞ。喜べ浅宮。 「そいつら知ってるわ! こないだTVで見たコントがマジ面白くてさ」 「浅宮も見たのか? あれさ——」  そこから延々と色んな話を浅宮とした。  話してみると浅宮と案外気が合った。浅宮は話も面白いし、浅宮と話しているとすごく盛り上がって、あっという間に時間が経ってしまった。    それから普通に浅宮と友達になった。浅宮は結構マメな男らしく、『今なにしてる?』とか『面白い漫画見つけたから今度貸すよ』とか『おやすみ』とか、ちょいちょい俺にLINEを送ってくる。  浅宮のいいところは見た目だけだと思ってたけど、話してみたら気さくでいい奴だな。
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