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「あ!そこまでは思い付かなかった!」
妹の頭撫でてからふと思い出した妖怪だったから。
「流石弟!実在はしないだろうが、なんだったらこの際白雪に似たもんでも探してみるか?」
「この糞兄貴がぁ!」
胸倉を掴まれ、俺は弟の拳を喰らわされる……筈だったのだが、和彦は途中でやめた。
またやるせない気持ちになったのだろうか。
俺は怖くて閉じてた瞼をゆっくりと開けて、弟の様子を見た。
和彦は、目を丸くしていた。
俺を見てそんな驚愕の表情をしているんだろうか。
「あ…まさ兄」
あれ、まさかの妹までも驚いた顔になっていた。
二人の目線は、どうやら俺の背後にあるらしい。
和彦に掴まれながらも、俺も首だけを動かして横目で後ろを覗いてみた。
少し離れた場所にいたのだが、一人の女が、こんな万事休すな状況にも関わらず軽い足取りで歩いていた。
しかも防空頭巾とかを…付けていない?
身に付けてるのは今まで見たことがない膝まで伸びた変な白い服のみ。
「…世の中変な奴もいるもんだなぁ」
「いやお前あれさっき話してた白雪姫ってやつじゃねえのかよ!」
……
「あー!」
「驚くの遅えよ!」
どっちにしろ俺は弟から殴られるのだった。
「兄貴、奴の跡をついていけば良いんだよな?それでここから抜け出せるんだよな?」
「まあそうだけど…言っとくけど単なる噂だからね?俺が言った事全部鵜呑みにしないでよね?」
保険を掛けるように言ったのだが、和彦は聞く耳を立てず再び幸代を背負って白き女を追っていった。
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