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男には幼い頃から未来が見えた。
例えば週末に遊園地に行く予定だった時、週末の天気が頭に浮かんだ。雨が降り雷が鳴っていた。案の定悪天候となり、遊園地に行けず家でアニメを見ていた。
例えばテレビの番組で回答者が当たれば視聴者プレゼントがあたる特番で、母の回答と同じものを回答者が答えて喜んでいたが、男の頭には不正解と出ていた。テレビから不正解の音が響く。母が残念がっていた。
ある日、明日の夜ハンバーグが食べたいと思ったら、次の日の夕ご飯が頭に浮かぶ。この時は唐揚げだった。男は母に次の日の朝今日はハンバーグが食べたいと伝えたら夜にハンバーグが出てきた。どうやら未来は行動次第で変えられるようだった。
しっかり者で正義感がある両親から教わった「嘘や不正は良くない。そんなことをした者はきちんと罰を受けるべきだ」と常々教えられていた賢い彼は、正しく育っていった。
男が大学生の頃。環境問題や経済問題について学んでいたある日、未来の日本を予知した。
環境悪化が進み、日本がより住みづらい国になっていくこと。ゴミの量は増え、植物が減少したせいでヒートアイランドも地球温暖化も一向によくならない。
逆に一人一人がエコに関心を向け、植林活動等を行えば、日本は他国からも尊敬の目で見られること。
皆貯蓄にばかり目を向けたせいで経済活動が回らず、貧困が続いていくこと。
逆にお金を貯めずに投資やお金を動かすことでより豊かになり、みんなが満足できる生活を行えること。
この未来は変えなければ。これでは善人も、地球も大変な目に合ってしまう。
男はそれからというもの、周りにそのことを伝えた。友人に、近所の人に、大学の発表会で、ネットの投稿サイトで。今のままではダメだと。行動しないといけないと。
しかし、皆男のいうことを聞いても、最後にはこういう。「本当にそうなるかわからないだろ?」と。
活動を続けて数年経ったこと、男にはある未来予知が見えた。
10年後、男はとあるテレビ番組に出演した。
「今回ご紹介するのは投資に成功、さらに環境問題を解決するための会社を設立され、先日栄誉賞を受賞された〇〇さんです!」
「よろしくお願いします。」
「会えて光栄です!投資で成功したお金で会社を設立したんですよね?」
「ええ、まあ。最初は投資ってよくわからなかったので、しっかりと勉強したおかげで功を奏したのかなと思いますね」
「いやいやそんなご謙遜を!しかも環境問題改善にも会社としてだけでなくボランティア活動にも携わっていて、その功績から外国からも要請がきているとか」
「来週も海外へ出張があるんです。日本だけでなく海外でも環境問題が良くなる手伝いができると思うと、楽しみです。」
「さすがですね!では早速投資についてお話を伺っていきたいと思います!では最初にー---」
周りに教えていっても信じてもらえないと悟っていたのだろう。男が見た未来予知は、男が今と同じ活動を続けており、必ず全員去っていく。
これがずっと続くという予知であった。今の行動を変えなければ、この予知は永遠に変わらない。
男は考えた。ならまずは自分が投資や環境改善に成功すればいい。まずはそこからだ。
男は投資に充てるお金を働きながら準備した。また、投資や環境学について必死に勉強した。
投資を行い、地道にお金を増やしていった。男はどの銘柄が当たるなんて予知は正しくないとし、予知は行わなかった。ただただ投資を勉強しそして、着実に増やしていった。
それと同時に植林ボランティアや海辺の清掃、数々のボランティアにも積極的に取り組んでいった。
いつのまにか老後に困らない程度のお金を手に入れた。次は環境問題だ。
ボランティアで知り合った地球温暖化やエネルギー問題等に関心のある友人に声をかけ、会社を設立した。
ボランティアという場で知り合ったせいか各々がどんなことが得意か知らなかったが、あるものは経営、あるものはデザインに長けていたりと、得意分野を生かして仕事をしていった。はじめは小さな会社だったが、今では大きくなり、投資の経験や環境問題への改善について、テレビ取材を受けられるようにもなった。
これで皆も信用して話を聞いてくれるだろう。今日は投資の仕方についてのインタビューだ。皆が経済的に豊かになるチャンスだと、男は体験談を嬉々として語っていく。
最後の未来予知以降、男には未来は見ないことにした。どうせ結末は変わらないのだから。人の考えだけは、予知しても変えられないと悟ったから。
周りを変えるなら、自分から変わるしかない。言ってるだけじゃなく、行動で示す。皆に信じてもらえるように。
いつか皆と地球が幸せになれる未来を予知するために。
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