夏の大三角

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…。 “天文学の定説を覆す発見か。隕石の落下場所に偶然居合わせたN高校に通う三条明美さん(16)によりますと…“ 「三条さん!すごいじゃん、新聞見たよ!」 寺田友郎は体育館裏の倉庫に私を呼ぶと、身を乗り出すように話しかけてきた。 ここは二人だけで語らう時に落ち合う、秘密の場所。 彼とは同じ中学出身。 高校は別のクラスとなったが、幸いにして今も気軽に話しかけてくれる間柄。 バトミントン部の未来のエースは、しなやかなですらっとした体格の持ち主。 その身体に乗った小さな顔には、誠実感溢れる瞳が二つ瞬いている。 中学時代から今に至るまで、私の心はつまり、彼に心底魅了されていた。 「どうしてN公園に居たの?」 「それは寺田君がきっかけなの。あの日は、夏の大三角を見に行っていたんだよ」 「夏の大三角?ああ、俺の好きな歌の歌詞に出てくるやつか」 「寺田君の好きな歌詞を思い浮かべる度に、つい興味を惹かれちゃってね。実物をこの目で確かめたくなって」 「三条さんが、俺に…いや、俺の好きな歌詞に興味を…」 「うん。…実は、これ内緒よ。あの隕石とは別に、小さなカケラも見つけてこっそり隠し持ってたの。それがこれ」 「うわぁすっごいきれいだなあ。ん?これチェーンがついてる」 「私の手作りペンダント。徹夜がかりで頑張って作ったんだ。寺田君に渡す為に」 「えっ。俺の為に…」 「受け取って…くれるかな?」 「いいの?俺で…」 「…きっかけをくれた寺田君に導かれたから、私はそこへ赴いたんだ。そこには二人を繋ぐ星屑があった。これって何かの運命じゃないかって思うの」 「それはつまり…告白と受けとめて…いいのかな?」 「うん!…ぽっ」 「やったー!俺、三条さんのすべてを受け取っちゃうぜ!ありがとう!あぁ、すっげえうれしい!」 「じゃあ〜、首にかけるから。あっち向いててね」 「わかった。…むふっ、ちょっと三条さん、くすぐったいよう」 「動いちゃダメ。うまくつけられないでしょ」 「ごめんごめん、…ふう〜、だめだ。くすぐったくて」 「も〜、寺田君ったら!あらどうしたの、こっち向いて?」 「…明美」 「!?あ…だめ…」 …。
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