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…。
恋焦がれていた人からの、夢のような口づけ。
私のファーストキッスは、思っていたのとはちょっと違った…ううん、いや、こんなものなのかな。
寺田君の唇はつるんとしてて、ひんやりとした鉄のような味がした。
口の中を切ったんだろうか?おかしいなと思い、愛しの人を見ようと目を開く…。
って、どぅわぁ!
何してんの私…。
我に返ってみると、園内掲示板のポールに口をくっつけてるじゃあ、ありませんか。
素早く周囲を見回した。
こんな所を誰かに見られたら、通報されてしまうよ。
ふう、誰も見ていない。
首をふりふりして現実に立ち返った私は、あらためて落下物の正体を確かめるべく、小山の向こう側へ進む。
先程の衝撃音を聞きつけて人々が押し寄せてくるかと思ったが、そんな気配は一向になかった。
やがて小山を迂回して行くと、前方に一本の大木が。
その近く、芝生の上に横たわっている物体が見えてきた。
何だろう?サイズは丁度、成人くらいの人のような物。
…人だった。
男性がうつ伏せに倒れていた。歳の頃20代、いや同じ年代の様にも見える。
大丈夫かしら?
急いで近くに走り寄ると、状況を瞬時に分析した。
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