はじめて愛をくれた人

以前のことなど忘れてくれ

「松葉？」

　竜胆の寝衣に手をかけ、開く。この世界で使われている下着は薄い布でできており、形はボクサーパンツに似ている。それをずらすと、中から熱いものを取り出した。
　私の行動に、竜胆は息を飲む。

「ん」
「っ」

　すでに硬くなっていたものを手で包む。しゃがむと口を近づかせた。ゆっくりと口内に含んでいく。

「っ、松葉……！」
「んっ」

　口におさめると、先端を舌で刺激する。そのまま舌や頭を動かし、竜胆の熱を昂らせた。
　蘇芳様にしていた時は苦しさもあったのに、夢中になって吸う度に体の奥がきゅうと締まる。

「くっ……はぁっ」
「ん、んぅ」

　何かを耐えるように眉を寄せる竜胆。竜胆のこんな顔が見られるなら、今までの経験も悪くはないのかもしれないとまで思った。

「松葉、もうよい……っ」
「んー……、不快でしたか？」
「いや、逆だ……良すぎるゆえ、少し加減してくれ。今晩はもう十分だ」

　口を離した熱はしぼむどころか硬さを増している。気持ち良く思ってくれたのは本当のようだった。気恥しさからか顔を真っ赤にした竜胆は、また私を布団に寝かせた。

「その……そろそろ次に進んでもよいだろうか」
「竜胆様のお好きなように。私は慣らすことも必要ありません」
「……わかった、好きにさせてもらうぞ」

　私の言葉に竜胆は少しむっとしたような顔をした。何かまずいことを言ってしまったのだろうか。その答えが出ないうちに、優しく足を開かれる。
　いつでも熱を受け入れる準備ができている私に、竜胆は指を一本押し付けた。熱いものが欲しくて疼くそこにゆっくりと入ってくる。

「ん、指、ですか……？」
「あぁ、なるべく乱暴にしたくない」

　中に埋められた指はゆっくりと進む。竜胆の優しさは嬉しいが、かえって焦らされている気になってしまう。
　抜き差しされる指の動きでは物足りなくて体をくねらせた。

「ぁっ……ん」
「……本当に、柔らかいのだな」

　竜胆の指を飲み込むそこをじっくり見られている気配がして、顔が赤らむ。こんなにゆっくりと進む行為は初めてで戸惑った。

「竜胆さま、もうわたしは、大丈夫でございますっ、あっ、ん」
「……他の男にはそうかもしれぬ。だが儂とは初めてであろう……他の男とのことなど、忘れてくれ」

　一本指が増やされる。二本の指で抜き差しされる度、中がきゅんと締まった。
　初めて見せた竜胆の嫉妬。今までの経験があるから竜胆を満足させられるだろうとどこか思っていた私は、自分を恥じる。今はただ、竜胆のことだけを考えようと思った。

「わたし、このように優しいものは初めてでございます……初めてだからどうなるのかわからず、怖いのです」
「そうか……松葉にも初めてのことはあるのだな」
「ぁ、あっ、ん」

　中を押し込み、擦る指。その動きに合わせてしばらく喘いでいたが、ついに指は引き抜かれた。
　積もっている快感に頭と体を支配され、ぐったりとする。