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微笑みは隣の愛しい人へ
「すまぬ、しつこかったか……」
「ん……いえ、なんだか、力が入らなくて……」
「辛いか? 少し涼むか……」
「いや、です……竜胆さま、つづき、してください」
「っ」
じりじりとした熱で苦しくて、おねがいします、と訴える。自然と溢れた涙が瞳からこぼれた。それを指で拭いながら、竜胆は深く息を吸う。
「わかった。しかし少しでも辛ければすぐに止める。いつでも言ってくれ」
「ん……はい」
指が抜かれた箇所に、指よりも太いものが押し付けられる。目で「いいんだな」と訊く竜胆に頷いた。ついにその瞬間が訪れる。
「あっ、あついものが、はいって……っん」
「っ、松葉の中も、熱いな」
なるべく負担を軽くしようとゆっくりと腰を進める竜胆。徐々に侵食される私は、繋がりが深くなる度に満ち足りていった。根元までおさまり、ようやく竜胆とひとつに溶け合う。
「ん……竜胆さま、うごいて、ください」
「はぁっ、辛くはないか」
「はい」
実際痛みはなかった。懇願するように腕を絡ませると、ぐち、と動く腰。小さな動きはやがて大きく、激しくなった。
「あ、あっ、あぁっ」
「松葉……、はっ」
「ん、んんっ、りんどう、さまっ」
引いては押し込まれ、深いところを目指す。ぴったりと隙間を埋めるように、私と竜胆は密着した。熱い体はじっとりと汗をかく。
「あ、はぁっ、んぅっ」
「松葉、松葉っ」
「んんっ、あ、あ、あっ」
想いあっている人との行為はこんなにも気持ちが良いのか。意識を乗っ取るかのような強烈な快感が襲いくる。私は喘ぎ、体をくねらせ、竜胆にしがみついた。
「りんどう、さまっ、あぁっ、わた、し……っ、んんっ」
「っ、あぁ、わかっておる」
もう限界が近い。ぎゅうぎゅう抱きつきあいながら、それをふたりともわかっていた。まだこの時間を堪能していたいのに、熱が弾けようとしている。
お互い求め合い、限界を受け入れた。
「あ、あぁっ、んんーっ」
「はっ、はっ」
二度目の熱を手放した私の後、中から引き抜いた竜胆も熱を吐き出す。ふたりともぐったりとしながら、しばらく息を整えていた。
「……平気か、松葉」
「はい……」
隣に寝転んだ竜胆に擦り寄る。竜胆は照れがあるのか視線をさ迷わせたが、私の体を優しく引き寄せた。竜胆のさり気ない動き、振る舞いで、また胸が満ちていく。
「竜胆様、次は私の内に注いでください」
「っ、……よいのか?」
確認などしなくてもいいのにと思うが、こうして一つ一つ確かめ合い、お互いを尊重するのが竜胆の望みなのだろう。だから私も、望みを伝えていかなければ。
「はい。私がそうしてほしいのです」
竜胆を愛している。愛して欲しい。もっと愛したい。はじめての想いを胸に宿し、隣の愛しい人に微笑んだ。
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