プロローグ

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 恋の勉強は漫画で全て知った。少女漫画からTL漫画にチェンジした時の衝撃は今でも忘れない。 【ハードル下げなさい】  恋をする準備は出来ている。ヤバいやつからイメチェンし、メイクも着こなしや言葉遣いだって気をつけたのに、母からごもっともラインが来て、落ち込んだスタンプを即返す。 『ひと目あって好きとか告られても引くわ』 『これから知るってあたおかじゃね?』  小学校、中学校、と傷つき『恋なんてするものか!!』と少女漫画の本を捨てようとした日々。キュンキュン出来なければ、届ける方で漫画家のアシスタントをして15年。 『アラサー おひとり様』と検索を打つとブルーな単語が関連づかれている。お洒落な借家に住んでも満たされない寂しさ。  ピンポーン、ピンポーン・・・  ピンポーンと鳴らされるインタフォンに映るのは決まってご近所に住む少年。夏休みに、暇なおばさん相手をしてくれるとな。若若しいねぇ、どれ?ガリゴリくんでもあげましょか。 「はい、はい何人ですか?」 「3つも食うと腹壊すぞ?」  アラサーおひとり様は戸惑った。鍵山はずっと物欲しそうに見ている。  【ガリゴリくんをあげますか?】  【はい】・【いいえ】
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