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成 1 (愛)
携帯電話を耳にあてソファで横に寝そべっていた僕がいた。
「芥川賞、おめでとうございます」
電話の向こうから声が聞こえる。
ソファで、昼寝をしていた僕が、慌てて飛び起きた。
・・あぁ、夢だ。
願望が強すぎて夢か現実か区別がつかなくなる。微睡んでいる頭をスッキリさせたくて、冷蔵庫に入れていたコーヒーを取りに行った。
ピンポンとチャイムが、いまにも切れそうに頼りなく鳴った。10年間一度も替えた事の無い電池が切れそうだ。
チャイムを鳴らして尋ねて来る人が殆ど居ないので、こんなに長く電池が持ったのかなぁと思いつつ、来客の顔を思うと、気が重くなった。
平成の大合併で、町から市に昇格した市に住んでいる。田んぼが多いのどかな地域だったのは10年前だ。
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