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成 10(壱と東京のアパートで会う)
2か月ぶりの東京は、晴天で清々しい5月の気候だった。
土曜日のせいか人通りが少ない歩道を歩き、途中コンビニに寄った。
昼時で店内は混んでいた。どこから湧いて来た人達だろうと、どうでも良い事を思った。
食料と飲み物を買ってアパートに戻った。
部屋の中はなんとなく埃ぽい、壱はこのアパートに暫く帰って来ていないのだろう。
まだ壱が帰って来ないので、窓を全開にして掃除を始めた。
夕方に壱がきた。
「…、久しぶり」
僕は、一言だけ久しぶりと言う言葉がやっと出た。
あまりに酷い壱に、絶句してしまった。
身なりを整えない壱を初めて見た。
髪は帽子で誤魔化していたが、無精髭、パジャマのようなスエットジャージ。
「やっとシャワーを浴びてきた。ずっと洗っていなかった」
と、言って両手で僕に抱きついてきた。
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