成 10(壱と東京のアパートで会う)

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 岐阜に行く2か月前は仕事したいなんて一言も言ってないよな」 「きっかけは特にない。嫌な事も特には、暇なんだ」 「急に暇だと思ったのか?」 「急にって訳でもないけど…」 「俺にとっては降って湧いたような話だった」 「僕と離れた生活寂しい?今までも1年の半分以上は別々の生活だよね、東京でも壱は仕事部屋に居る方が多いよね」 「俺は金を稼がなきゃな」 「それが嫌かな。そうだよ、壱にぶら下がっているのが嫌」 「成、成なのか?今までの俺の大好きな成とは違う」 「今まで、自分の意見を言う事が無かったからね。好きじゃないの?寂しけど、仕方ないね」 「大好きだよ、愛してる」  壱はうなだれて自分に言い聞かせるように言った。
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