成 10(壱と東京のアパートで会う)

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 2人は暫く無言になった。  壱が、先に口を開く。 「成、俺の事…愛しているって言ってくれないなあ……、さっき自分から意見を言ってこなかったって言ってたよな、俺が成の希望を先回りしてたから、思い通りだったはずだ」 「あぁ、言われ見ればそうか、……ありがとう」 「別にお礼を言われたくてじゃない」 「このまま続けても平行線だよね、同じ話の繰り返しだよ、こんなに離れて生活しているんだ。  壱も引きこもりしないで、仕事したら?  和井さんに迷惑かけているんだろう?」 「俺の音に影響が出ているからと言われた」 「だから引きこもり…」 「成、俺どうしたらいい?」 「僕の仕事を認めて欲しい」 「嫌だ」 「じゃあ、少し離れよう」 「嫌だ」 「この2か月離れていただろう、その延長だよ」 「心が違う」  いきなり目と目があって、一瞬僕は慌てた。
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