おとぎばなし

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おとぎばなし

はっ……はぁ…は……ぅう…あ……… 獣の唸り声、はたまた人の断末魔の声か。 気味が悪い。 止血死なのは明らかだろう。大量の血液が流れている。 薄暗い倉庫なのか、それとも廃墟か。 暗闇の中、もぞっと動いた影は化け物の様だった。 一体何人いるのだろうか。 血に足を滑らせない様に、慎重に歩く姿からある種の"慣れ"を感じ取れる。 何かが漏れているのか。天井付近からポタポタッと不規則に落ち続ける雫が不気味さをより、際立たせる。 それは雫なのか血液なのか。 無人の家屋に響き続ける。 静かに歩く姿が消えそうになったその時、 突然何者かが足首を捕んだ。 が、その手は無惨に床へ落ちた。 血が辺りへ飛び散った。 気づいた頃、そこにはもう、 生きている者は誰もいなかった。 誰一人いなくなった。
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