45人が本棚に入れています
本棚に追加
漏れてくる光がどんどん細くなってくるのを絶望的な気分で見上げながら、
「助けて! 出して!」
と声を限りに叫び続けた。
「これがあなたたちの運命よ、観念するのね」
もう少しで扉が完全に閉まろうとする時、今まで聞いたこともないような冷たい口調でビューがそう言い放った。
「ビュー……さん? なぜ?」
次の瞬間、ゴトッという嫌な音がすると扉は完全に閉まり、辺りは漆黒の闇に塗りつぶされた。
「ど、ど……どうしよう!」
「麗奈さん、しっかりして」
暗闇に視界が奪われる絶対的な恐怖に、歯の根が合わない。
さすがの麗奈も(ビューさんが紹介してくれた店だから大丈夫)だなんて楽観的な見通しはもう持っていなかった。
これは小学生でもわかるレベルの、とてつもなく危険な状況だ。
床が抜けたのではない。扉の先に準備された落とし穴におびき寄せられ、閉じ込められたのだ。野生動物を捕らえるように、罠に嵌められたに違いない。
早く逃げなきゃ、助けを呼ばなくては。
パニックのあまり頭が痛くなってきた。
最初のコメントを投稿しよう!