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「何それ? そんな動物いるの? 聞いたことないけど」 「ならいいわ。今のは忘れて」 グッと力をかけてスイカを押すと、包丁が勢いよくまな板にドンっと音を立ててスイカは真っ二つになった。当然中には真っ赤な果肉がギッシリ詰まっている。 「ええー、せっかくだから教えてよ」 あくまでも興味本位で尋ねてくる友達に微笑みながら返す。 「忘れて。わたしの作り話だから」 「ダメだって。ここまで言って続きを言わないなんて無しだから。作り話でもいいから最後まで話してもらわないと、あたし気になって今晩眠れないんだけど」 しつこく食い下がる友達の様子を見て、わたしはため息をついた。 「本当にあり得ない話だからあんまり話したくないんだけど……」 「あり得なくてもいいよ。面白そうだもん」 スプーンを擦りながら、楽しそうに友達が言う。 「じゃあ一応話すけど、飽きたり馬鹿馬鹿しくなったら途中で言ってよ。作り話のつもりで聞いてもらえたらいいから……」 友達が「はいはーい」と軽い返事をした。
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