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あの日は、いつもの夏と同じようにわたしはいとこの澄玲さんの家に遊びに行っていた。小学生の頃は夏休みになると自然豊かな場所ににある澄玲さんの家まで、車で2時間ほどかけて家族で遊びに行っていた。
当時小学校5年生だったわたしは澄玲さんにとても懐いていた。お上品で綺麗だし、博識で、なんでも教えてくれて、とっても優しい澄玲さんは来年大事な大学受験にも関わらず、いつもと変わらずわたしに構ってくれた。
「澄玲ちゃんはお勉強しないといけないんだから今日はもう泊らずに帰るわよ!」
「嫌! 今日はすみれお姉ちゃんと一緒にいるもん!」
母がわたしに注意をするけど、わたしは澄玲さんに抱き着いて、離れようとはしなかった。澄玲さんは微笑んだままわたしの頭をそっと撫でながら言う。
「いいんですよ、叔母さん。息抜きも必要ですから」
「ほら! すみれお姉ちゃんも良いって言ってるよ!」
母親が困ったような表情をした後澄玲さんの方を見て、もう一度訪ねた。
「本当に良いの? 邪魔じゃないかしら?」
「大丈夫ですよ。わたしも凛桜ちゃんと一緒にいるの楽しいですし」
「なら、お言葉に甘えてこの子と一緒に遊んでもらえるかしら?」
全てを受け入れるみたいな微笑みと共に澄玲さんは頷くので、母はそれ以上何も言わなかった。こうしてわたしはその日も澄玲さんの家に泊ることになったのだった。
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