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「詩織〜、綺咲〜」
冬も近づく秋の冷たい空気の中、半袖Tシャツの裾で汗を拭きながら旦那が歩いてきた。引越し業者の作業手伝いが終わったようだ。
30歳になった旦那のお腹が…少し出てきたことに気がついた。
「あ、パパ!」綺咲が、向こうから歩いてくる旦那の元にかけていく。
「みて、ドングリ〜」手のひらいっぱいに集めたドングリを、嬉しそうに見せびらかす。
ドングリって不思議だなぁ。
大概の子供は喜び、集めたがる。
「うげっ!ドングリ…。俺、昔集めて保管していたドングリに虫が入っていて、ちょっとしたトラウマになってるんだよねー」
そう言いながら1つ1つ丁寧に、綺咲が集めたドングリに穴が開いていないか確認する旦那。
私は綺咲が落としていったドングリに気がつき、拾い上げた。
…ん?このドングリ、長細い。
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