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―――えっ!本当にゆうくん?
「小学校の遠足で拾ってきたドングリを、あそこに埋めたんですよ」
―――いやいや、この社宅に子供はそう多くは無かったけど、同じ事をしてもおかしくはない。
「社宅の公園にドングリの木があれば、毎年いっぱい拾えるなって小学生的考えで」
島村は恥ずかしそうに笑う。
「ははっ。ドングリが実る頃にはもういい大人になっていたのでは」
旦那の指摘に頷く島村。
「芽が出て大きくなってきた時、管理人さんに頼み込んでそのままにしてもらったんです。…そう、実はドングリを植えた時、社宅にいた同級生の女の子と約束をしましてね」
私の身体が、ビクッと反応した。
「このドングリの芽が出て、大きな木になったら結婚しようって」
島村が照れながら少し嬉しそうに話す。
―――もしかして、もしかすると…。
私の心臓がバクバクする。
私は既に既婚者だけど、もしかしてゆうくんはずっとその約束を胸に…!
「それが、僕の家内なんです」
―――は?
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