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―――ずっとこの木をまもっていこうね。
それで、まいとしいっぱいドングリひろいができたらいいね。
まだ芽すら出ていない、埋めたばかりのドングリに大いなる期待を込めていた7才の私たち。
小学校の遠足先の公園で十分などんぐり拾いが出来ず、私を含めほとんどの児童がしょげて帰ったその日。
同じ社宅に住む同じクラスの『ゆうくん』が、唯一拾ったドングリを私に見せてくれた。
丸く、ツヤツヤの大きなドングリ。
私はそれを欲しがった。
「コレをふやそうよ」
ゆうくんの提案で、社宅の公園の隅にドングリを埋めた。
毎日二人でたっぷり水をやり、芽は出ていなくても毎日眺めた。
寒い冬になっても毎日毎日…。
そして暖かい春が来る前に、私のお父さんの転勤が決まった。
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