約束は花火の下で

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 ぼくが漫画を学校の机の中に忘れていったのがいけない。それはわかってる。  その漫画が、あろうことかクラス中に広まってしまった。ぼくが入っていないSNSのグループで写真が回されたらしい。  次の日登校したぼくは、信じられないものを目にした。今まで一生懸命に描いていた漫画のノートが、ぼろぼろに破られて踏みにじられて、ぼくの机の上にゴミみたいに置かれていたのだ。  それだけでも苦しかったのに。 「コイツの漫画、クソだよなぁ? てゆーか漫画とかダサいっつーの!」  信じてた。お前(親友)だけはぼくを裏切らないって。  なのに。 「そうだよな! クソつまんねーしよ!」  目の前が真っ暗になるっていうのは、こういうことを言うんだ。  それからは、まさしく地獄。ことあるごとに主人公の名前で呼ばれ、ヒロインの容姿を揶揄われ、ネタにされた。  親友だと思っていた友達は、ぼくのほうを見向きもしなかった。楽しそうにクラスの奴らと笑っていた。  ああ、ぼくは完全に「世界」から外れたんだ。  そう思った。
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