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(一)桜源郷
物語は先ず、この地球という惑星の上に、まだ桜の木が存在しなかった時代まで遡る。
この大宇宙時空間の中には、様々な星があるものである。太陽系、銀河系より遥か遠い宇宙の彼方に、未知なるひとつの星があった。未知なる故にまだ人類によって、名は付されていなかった。よって便宜上その星を『桜源郷(おうげんきょう)』と呼ぶことにする。
桜源郷。桃源郷ではない。その星をそう呼ぶについては、それなりの訳がある。なぜならその星には丁度地球の桜のような木が、星一面に植わっているからである。しかも地球と異なり、桜源郷の桜は年中咲いている。なぜかといえば、桜源郷は年中温かい、地球的に言えば常春の星だから。
加えて桜源郷には、人類に似た知的生命体も生存していた。当然星の名同様、人類によって名は付されていない。故に彼らについても、仮に『サクラ星人』と呼ぶこととする。
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