花火

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「あー、なんか記憶の彼方に。 お願いって?大体免疫ついてるけど、あまりに変態だったら、追加もらうよ?」 「変態って…。 あのさ、明日、俺と花火してくんない?」 「は?」 本物に頭の中が、ハテナでいっぱいになってたら、和哉が続けた。 「俺、明日誕生日なんだよね。 甘いもの苦手だからケーキとか食えないし、酒はいらないから、なんかめでたいことしたいなって。」 めでたいは、お前だよ…。 「ホストってバースデーが命じゃないの? 休んでる場合?」 「あ、リアバが明日ね。 仕事の誕生日は、11月だから大丈夫。 だから、今日泊まって、明日、俺と花火しよ?」 「えー。」 嫌でもなかったけど、そう口から出た。 「お願い!」 「お客さんとすればいーじゃん。 てか、友達とか彼女いないの?」 「残念ながら、花火やってくれる、めでたい友達はいない。 せっかく堂々と休みなのに、お客さんに会いたくない。」 あ、めでたいって自覚はあったんだ。 「ね?お願い!あと二万追加してもいいから!」 「さすがに花火でその金額は裏あって怖い。」 「ないない。免許証見せようか?」 和哉が出した免許証は、本当に和哉って名前で、明日、8月8日が誕生日だった。 「そんな花火やりたいの?」 「うん!夢!」 「おーげさ。いーけど。」 「まじ?ありがと!」 なんか、チワワみたいな目して喜ばれて、複雑な気持ちになった。 「あ、シャワー浴びる? ドンキで部屋着買ってきたけど。」 「泊まる前提じゃん。笑」 簡単に人を信じちゃいけない。 そう思ってるのに、和哉チワワはなんか憎めなくて、シャワーを浴びることにした。 その夜は、和哉がコンビニで弱めのチューハイ買ってきてくれて、ベッドまで明け渡してくれて、早めに寝た。 なんか眠かった。
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