花火

18/19
前へ
/19ページ
次へ
あれから、何年経っただろう。 舞はもういない。 なんで、俺は守れなかったんだ。 何度も自分を責めた。 俺のせいで、俺の客のせいで、舞は…死んだ…。 でも、いくら責めても、舞は帰ってこない。 俺はバカだった。 毎年、一緒に花火ができると思ってた…。 今夜も暑い。 8月8日。舞の誕生日で、舞の命日。 うそだろ、舞…。 舞の親は、舞の遺体を引き取ろうとしなかった。 俺にとっては唯一の救いで、舞の骨を拾うことができた。 今も一緒にいる。 2人で撮った写真の1枚もないのに、でも舞はここにいるんだ。 この家で、舞がオムライスを作ってくれた。 この家で、舞が待っててくれた。 今も、舞はこの家で俺の帰りを待っててくれる。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加