花火

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「これもいる?」 そう言ってイチカが差し出したのは、大量の咳止め薬。 「どーしたの?昨日のおっさん金持ってた?」 「なんかぁ、こんなことしたらダメだよぉって、終わった後に言いながら五万くれた。」 「どの口ー!」 「ねー!」 爆笑し合いながら、咳止め薬を受け取って、酒で流し込む。 「それ飲んだら、探し行こ。」 「だね。時間やば。」 時刻は午後9:45くらい。 10時になると18未満は補導されるから、場所を移して、「宿」となる男を探す。 探すときは別行動。 1人の方が哀れに見えるから。 Twitterとかに上げればすぐだけど。 足がつくのはやばいから、できるだけ現地調達。 「あー、だっる。」 「しゃーなし。」 毎回同じ会話を繰り返しながら、立つ。 …はずだった。 ずるっ。 「あれ?」 「え、まいちー大丈夫?!」 「う、うん。薬がいつもと違ったからかな。」 「え、やば。あ、イチカもう行くね!」 イチカは、関わらないようにと足速に立ち去る。 冷たいわけじゃない。 それが暗黙のルール。 一蓮托生だっけ? 1人がパクられて、みんな道連れは困るから、やばいときは、バラける。 「あ、やばいかな…。 とりあえず、移動しなきゃ…。」 最近、テレビとかネットで、トー横が取り沙汰されるようになったから、見回りも厳しくなってきてる。 いつものように、散らしてもまた集まるだけだけど。 ふらふらと立ち上がって、人気のいない方を目指す。 あとちょっと行けば、公園。 ダメなら神社。 今日に限って、首からかけたスマホが重く感じる。 足が重い。 「やばめ…。」
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